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東京地方裁判所 平成11年(ワ)27645号 判決

原告 株式会社整理回収機構

右代表者代表取締役 鬼追明夫

右訴訟代理人支配人 日下洋史

右訴訟代理人弁護士 板澤幸雄

同 川崎真樹子

被告 株式会社北陸銀行

右代表者代表取締役 犬島伸一郎

右訴訟代理人支配人 中川守男

右訴訟代理人弁護士 吉田忠子

同 根本良介

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

東京地方裁判所平成一〇年(リ)第四三四七号、同庁同年(リ)第四五二五号、同庁同年(リ)第四五二六号、同庁同年(リ)第五六二五号、同庁同年(リ)第六六九七号、同庁同年(リ)第七二六〇号、同庁同年(リ)第八二五〇号、同庁同年(リ)第九一一二号、同庁同年(リ)第九七九六号、同庁平成一一年(リ)第一三二号、同庁同年(リ)第一一五一号、同庁同年(リ)第二一〇九号、同庁同年(リ)第三一〇八号、同庁同年(リ)第四〇五七号、同庁同年(リ)第四七六九号、同庁同年(リ)第五七六六号、同庁同年(リ)第七〇二七号、同庁平成一〇年(リ)第四六五二号、同庁同年(リ)第四六五三号、同庁同年(リ)第四六五四号、同庁同年(リ)第五五二九号、同庁同年(リ)第六二六九号、同庁同年(リ)第七〇九八号、同庁同年(リ)第七九四七号、同庁同年(リ)第九〇一四号、同庁同年(リ)第九七六八号、同庁同年(リ)第一〇四四二号、同庁平成一一年(リ)第一〇七五号、同庁同年(リ)第一九〇九号、同庁同年(リ)第三一八一号、同庁同年(リ)第四一一〇号、同庁同年(リ)第四六四〇号、同庁同年(リ)第五六七〇号、同庁同年(リ)第六七四一号各債権配当事件につき、同裁判所が平成一一年一二月六日作成した配当表のうち、原告に対する配当額を二九〇二万一八五一円に、被告に対する配当額を三八六万九九三九円に、それぞれ変更する。

第二事案の概要

本件は、株式会社北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)が、別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)について有する根抵当権に基づき、物上代位権の行使として、本件建物の賃料債権に対する債権差押命令の申立をしたところ、同建物に同じく根抵当権を有する被告が、物上代位権の行使として、配当要求をし、右配当要求に係る債権について配当をする旨の配当表に対して原告が異議を述べた事案である。

一  争いのない事実等

1  拓銀は、平成一〇年三月一七日、本件建物について有する極度額二〇億円の根抵当権に基づき、物上代位権の行使として、別紙差押債権目録記載の債権(以下「本件被差押債権」という。)に対し、債権差押命令の申立をし(東京地方裁判所平成一〇年(ナ)第五九一号債権差押命令申立事件。以下「本件差押命令事件」という。)、平成一〇年三月一九日、債権差押命令(以下「本件差押命令」という。)が発せられた。

2  被告は、平成一〇年四月一〇日、本件建物について有する極度額一〇億円の根抵当権に基づき、物上代位権の行使として、本件差押命令事件について、配当要求の申立をした(東京地方裁判所平成一〇年(日)第六二八号)。

3  被告は、平成一一年二月二日、右根抵当権に基づき、物上代位権の行使として、本件被差押債権に対し、債権差押命令の申立をし(東京地方裁判所平成一一年(ナ)第一五七号債権差押命令申立事件)、債権差押命令が発せられた。

4  上田日本無線株式会社(以下「上田日本無線」という。)及び川鉄エンジニアリング株式会社(以下「川鉄エンジニアリング」という。)は、本件差押命令の送達を受け、東京地方法務局に被差押債権に相当する金員をそれぞれ供託した(東京地方裁判所平成一〇年(リ)第四三四七号、同庁同年(リ)第四五二五号、同庁同年(リ)第四五二六号、同庁同年(リ)第五六二五号、同庁同年(リ)第六六九七号、同庁同年(リ)第七二六〇号、同庁同年(リ)第八二五〇号、同庁同年(リ)第九一一二号、同庁同年(リ)第九七九六号、同庁平成一一年(リ)第一三二号、同庁同年(リ)第一一五一号、同庁同年(リ)第二一〇九号、同庁同年(リ)第三一〇八号、同庁同年(リ)第四〇五七号、同庁同年(リ)第四七六九号、同庁同年(リ)第五七六六号、同庁同年(リ)第七〇二七号各債権配当事件は、上田日本無線の供託に係る債権配当事件であり、同庁平成一〇年(リ)第四六五二号、同庁同年(リ)第四六五三号、同庁同年(リ)第四六五四号、同庁同年(リ)第五五二九号、同庁同年(リ)第六二六九号、同庁同年(リ)第七〇九八号、同庁同年(リ)第七九四七号、同庁同年(リ)第九〇一四号、同庁同年(リ)第九七六八号、同庁同年(リ)第一〇四四二号、同庁平成一一年(リ)第一〇七五号、同庁同年(リ)第一九〇九号、同庁同年(リ)第三一八一号、同庁同年(リ)第四一一〇号、同庁同年(リ)第四六四〇号、同庁同年(リ)第五六七〇号、同庁同年(リ)第六七四一号各債権配当事件は川鉄エンジニアリングの供託に係る債権配当事件である。)。

5  拓銀は、平成一〇年一一月一六日、株式会社整理回収銀行(以下「回収銀行」という。)に対し、本件差押命令事件に係る請求債権を譲渡し、回収銀行が本件差押命令の申立債権者の地位を承継した。

6  原告と回収銀行は、平成一一年四月一日、合併し、原告が本件差押命令の申立債権者の地位を承継した。

7  平成一一年一二月六日に開かれた右各債権配当事件の配当期日において、原告の債権について二一九一万二九八六円を、被告の債権のうち配当要求に係る債権について七一〇万八八六五円を、被告の債権のうち物上代位による差押に係る債権について三八六万九九三九円を、それぞれ配当するとの内容の配当表(以下「本件配当表」という。)が作成された。

8  原告は、右配当期日に出頭し、被告に対する配当額のうち配当要求に係る七一〇万八八六五円について異議の申出をした。

二  原告の主張

民事執行法一五四条一項は、配当要求をすることができる債権者を、執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者に限定している。したがって、根抵当権者の地位にあるにすぎない被告は配当要求をすることができず、配当要求に係る被告の債権について配当する旨の本件配当表には誤りがある。

三  被告の主張

先取特権に基づく物上代位権を行使しようとする者は、先行する債権差押命令申立事件において配当要求をすることができると解されるところ、先取特権に基づく物上代位権者と根抵当権に基づく物上代位権者とを別異に取り扱わなければならない実質的理由が存しないことからすれば、根抵当権に基づく物上代位権者も配当要求をすることができると解すべきである。

四  争点

本件の争点は、根抵当権に基づく物上代位権者が先行する債権差押命令申立事件において配当要求をすることができるか否かである。

第三争点に対する判断

一  先取特権に基づく物上代位権を行使しようとする者は、先行する債権差押命令申立事件において配当要求をすることができると解されるところ、先取特権に基づく物上代位権者と根抵当権に基づく物上代位権者とを別異に取り扱うべき実質的理由が存しないことからすれば、根抵当権に基づく物上代位権者も配当要求をすることができると解するのが相当である。

民事執行法一五四条は、配当要求をすることができる者として先取特権者を掲げながら抵当権者を掲げていないが、これは、債権については先取特権が成立することがあっても抵当権が成立する余地がないことによるものであって、同条の規定をもって、根抵当権者の配当要求を排除する趣旨のものと解すべきではない。

そうすると、根抵当権者である被告は、根抵当権に基づく物上代位権の行使として、配当要求をすることができるというべきであり、本件配当表について、本件訴訟において原告が変更を求める内容の誤りは存在しないといわなければならない。

二  以上によれば、原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 渡邉左千夫)

物件目録

所在 文京区後楽一丁目1番地6

家屋番号 1番6の1

種類 事務所

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付10階建

床面積 1階 232.56平方メートル

2階 246.96平方メートル

3階 246.96平方メートル

4階 246.96平方メートル

5階 246.96平方メートル

6階 246.96平方メートル

7階 246.96平方メートル

8階 246.96平方メートル

9階 246.96平方メートル

10階 246.96平方メートル

地階 239.76平方メートル

所有者 大日制御機器株式会社

差押債権目録

1.金150,000,000円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内3階について第三債務者株式会社カネコに対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

2.金251,636,326円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内2階について第三債務者川鉄エンジニアリング株式会社に対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

3.金490,000,000円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内5階・6階について第三債務者上田日本無線株式会社に対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

4.金150,000,000円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内7階について第三債務者双葉電気株式会社に対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

5.金126,000,000円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内8階(別紙図面Aの部分)について第三債務者電洋株式会社に対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

6.金126,000,000円也

但し、本命令送達日以降支払期の到来する、債務者兼所有者大日制御機器株式会社が別紙物件目録記載の建物の内8階(別紙図面Bの部分)について第三債務者興和商事株式会社に対して有する賃料債権の内、頭書金額に満つるまで。

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